悩み相談アプリ・愚痴サイト「きいて」は、孤独感の低減や自殺防止を目的としたSNS相談サービスで、2021年のサービス開始から3年目の運営となりました。2023年1月から12月までのきいてのデータを公開します。
投稿に関するデータ
悩み相談アプリきいてにおける「投稿」に関数するデータが以下になります。
2023年は191,436件の投稿があった
2023年に悩み相談アプリ・愚痴サイト「きいて」に投稿された数は191,436件でした。1日あたりの平均は524件となります。2022年は1日あたり平均133件だったため、前年と比べて投稿数は約4倍になりました。
悩み相談に関する投稿は138,717件
投稿するとき悩み・愚痴・雑談・幸せの4つの中から「タイプ」を選びます。2023年は悩み相談に関する投稿が138,717件ありました。次に多いのが愚痴に関する投稿で27,365件、雑談に関する投稿は20,209件、幸せに関する投稿は5,145件でした。
きいては悩み相談アプリとしてサービスを提供しているため、悩みに関する投稿が多いのは妥当であると考えられます。また投稿時はデフォルトで「悩み」にチェックが入っておりこのタイプに投稿されやすい傾向があると考えられます。悩み相談に限らず、日常のちょっとした不満を呟きたいというニーズも一定数あることから愚痴サイトとして「愚痴」の投稿もあることが分かります。
2022年も同様に「悩み」の投稿がもっとも多かったです。しかし2022年は「愚痴」が「雑談」の約2倍ありましたが2023年ではこの2つの投稿数の差が小さくなっており、愚痴サイトとしての機能よりも愚痴アプリ・雑談アプリとして幅広く利用されていることが考えられます。
「心」カテゴリーの相談が多い
悩みの種類に応じて、投稿するときにカテゴリーを選びます。2023年にもっとも多かったカテゴリーは「心」で投稿数は110,345件でした。次いで「恋愛」が19,100件、「その他」が17,197件、「人間関係」が12,338件でした。
「心」は汎用的なカテゴリーです。どんな種類の内容でも当てはまるよう、投稿するときはデフォルトで「心」カテゴリーが選択される仕様となっています。自分で変更しなければ「心」になるため、ここを変更せずに投稿をするユーザーが多いことや特定のカテゴリーに当てはまらない内容を投稿する人が多いことが分かります。
2022年の2番目に多いのは「その他」でしたが、2023年に2番目に多いのは「恋愛」カテゴリーとなりました。投稿時にユーザーが意図的に設定したカテゴリーの中では「恋愛」がもっとも多いため、恋愛に興味・関心・悩みがある人が多いことが分かります。
もっとも少なかったのは「子育て」に関する投稿で1,066件、「お金」は1,363件、「将来」は1,858件でした。この3カテゴリーは投稿総数に対する割合がそれぞれ1%未満でした。警察庁が発表している令和4年中における自殺の状況のデータでは「経済・生活問題」を原因とする自殺の割合も一定数あります。それを加味すると「お金」カテゴリーの投稿数はもっと多くてもおかしくないと考えられますが、2023年のきいての投稿においては低い割合となりました。
コメントがつく割合は81%
愚痴アプリきいてのメインコンテンツは投稿です。悩みや愚痴などを聞いてほしい利用者が「投稿」をして、それを見た別の利用者が投稿に対して「コメント」をすることでカウンセリングが成立します。そのため投稿に対してコメントがつくかどうかが重要です。2023年に投稿された内容のうち、1件以上のコメントがついた投稿は80.7%(154,538件)、コメントがつかなかった投稿は19.3%(36,898件)でした。
2023年5月以降はChatGPTを活用した「きいてコメントAI」が稼働しています。いくつか条件はありますが、ユーザーが意図的にブロックしなければ基本的にはすべての投稿にコメントがつきます。2022年はコメントがつく割合が55%だったため、AIの稼働によって多くの投稿にコメントがつく状況となりました。
一方でAI以外の「人間からのコメントだけ」でデータを見ると、2023年に投稿された内容で1件以上のコメントがついた投稿は39.1%(74,766件)、コメントがつかなかった投稿は60.9%(116,670件)となりました。これは2022年の55%と比べて下がっており、半数以上の投稿に人からのコメントがついていないことになります。
これにはいくつかの要因が考えられます。コメントしようと思ったら既にAIからコメントがついており人がコメントするに至らなかった、コメントするのが難しいような短文・連続の投稿が増えたなどの要因です。愚痴アプリ・悩み相談アプリ「きいて」としては、基本的にすべての投稿に対してコメントがつくことが理想であると考えています。AIの稼働により改善された部分はあるものの、「人からのコメントが届きやすい仕組み」が今後の課題です。
悩みに共感される割合は26%
投稿を読んだ人が内容に共感をしたとき、悩み相談アプリきいてでは「共感」機能でそれを伝えることができます。2023年に投稿された内容のうち、1人以上から共感された投稿は26.3%(50,323件)、共感されなかった投稿は73.7%(141,113件)でした。2022年は33.3%だったため、前年よりも低い結果となりました。
ボタンを1回押すだけで送ることができる「共感」ですが、投稿の視聴数やコメント数などと比べても割合が低く、この機能を利用していないユーザーが多いことが分かります。
登録者に関するデータ
悩みを相談したい人、愚痴を言えるサイトを探している人、話を聞いてくれる相手を探している人、SNS相談に関心のあるカウンセラー志望の人など、きいてに登録している人はさまざまです。きいて登録者に関する性別や年齢などのデータが以下になります。
21,835人がきいてに登録した
2023年に悩み相談サイトきいてに登録した人数は21,835人でした。1日あたりの平均は60人です。2022年は1日あたりの平均が23人だったため、前年と比べて2.6倍の増加となります。
これはきいてが悩み相談アプリ・愚痴サイトとして知名度が上がったことが要因だと考えられます。アプリストアや検索エンジンで「悩み相談」等のキーワードで検索したときにきいてが表示されやすい状態となり、サービスを必要としている人がきいてを見つけやすくなったと考えられます。
女性ユーザーが多い
2023年に悩み相談アプリきいてに登録した人の性別は、未設定が61.8%、男性が6.0%、女性が29.8%、その他が2.4%でした。
未設定の割合がもっとも高く、男性と比べて女性が約5倍も高い結果となりました。きいてでは性別を設定しなくてもアカウントを作成ができるため、デフォルトである「未設定」から変えずに利用しているユーザーが多いことが分かります。性別を設定しているユーザーの中では女性の割合が高いです。アプリやサイトを女性向けに設計しているわけではありませんが、現在のきいて利用者は女性ユーザーが多い状況であると考えられます。
2023年は登録数が大幅に増えたにも関わらず、登録者の性別の割合は2022年とほとんど同じでした。少なくとも現在のきいてにおいては「女性の方がSNSで悩み相談をしやすい」「男性はインターネット上で悩み相談をあまりしない」という傾向が考えられます。
10代の悩み相談が多い
2023年に悩み相談アプリきいてに登録した人の72.5%(15,832人)は年齢が「未設定」でした。年齢を設定している人の中でもっとも多いのは「16歳」です。年代別では10代が12.7%(2,772人)、20代が9.6%(2,094人)、30代が3.3%(729人)、40代が1.2%(263人)、50代が0.5%(99人)、60代以上が0.2%(46人)となっています。
2022年とほぼ同じ傾向で、きいて登録時のデフォルトである「未設定」がもっとも多くなっています。年齢によるターゲティングは特にしていませんが、前年に引き続き10代、特に中学生・高校生あたりの年齢のユーザーが利用しやすい傾向であることが分かります。10代や20代はSNSを積極的に利用するのが一般的な傾向のため、SNSアプリであるきいてもこれらの年代が利用しやすい状況となっていることが分かります。
ただし2024年以降はこの傾向が変わることが予想されます。というのも2023年12月に公開したiOSアプリバージョン3.6からアプリストアのレーティングが「12+」から「17+」に変わり、iOSアプリ内で18歳未満の年齢設定ができなくなったからです。アプリストアの審査基準では、投稿された悩みに性的な内容や暴力的な内容を含む場合はレーティグを「17+」にしなければいけないという制限があります。10代を中心に利用されているきいてにおいてレーティングを引き上げることは運営の意図するところではありませんが、アプリストアの審査に対応するためこの仕様となりました。きいて自体は18歳未満でも利用して問題ありませんが、iOSアプリからは17歳以下の年齢設定はできません。このため2024年は「18歳」の設定が増えることが予想されます。
登録が多いのはiOSアプリ
悩み相談サイトきいてにおける2023年のプラットフォーム別の登録数は、iOSアプリが16,191人、Androidアプリが4,738人、iOSウェブが340人、Androidウェブが233人、PCウェブが333人でした。
すべてのプラットフォームで2022年よりも登録数が増えました。特に顕著なのはiOSアプリで、2022年よりも約4倍の登録数となっています。ウェブでの登録数も2倍以上に増えていますが、Androidアプリの登録数は約1.4倍だったため他のプラットフォームと比べると登録数があまり伸びませんでした。
ウェブよりアプリの方が圧倒的に登録数が多く、登録者の96%がアプリの利用となっています。2023年はページ読み込み速度改善や集客などウェブ版の改善をしておりアクセス数は増加していますが、登録数の増加にはあまり繋がっていません。そもそもSNSサービス=アプリというイメージも強く「アカウントを作成して投稿をする」という一連のフローはウェブではなくアプリで行うことが一般的となっていることが考えられます。
OSやデバイスで比較するとiOS、Android、PCの順で登録者が多くなりました。利用者の年齢やコンテンツとの相性を考えるときいてはiOSアプリと親和性が高いことが分かります。
アクティブユーザーに関するデータ
毎日どのくらいの人が悩み相談アプリきいてを利用しているのか、また曜日や時間帯によってアクティブユーザー数に差はあるのかを分析したのが以下のデータになります。※分析の都合によりアプリだけのデータとなります。
1日平均608人が利用
悩みや愚痴の相談サイトきいてにおける2023年の1日あたりのアクティブユーザー数(DAU)は上記グラフのようになっています。
年間のアプリ利用者は36,770人、1日あたりの平均は608人でした。2022年の平均は182人だったため利用者が大幅に増えていることが分かります。2023年1月から5月までは1日あたり300人から500人ほど、6月から9月ごろにかけてユーザー数が1日800人ほどに増え、12月にはやや減少して700人ほどになりました。
アクティブユーザー数は36,770人でしたが登録数は21,835人であったため、2022年以前に登録をしてそのまま利用している人や、登録をせずにきいてを利用している「投稿を見るだけの人」が多いことが分かります。
8月27日(日)にはアプリでプッシュ通知を配信したため人数が一時的に1000人を超えました。2023年は全体として右肩上がりの傾向でしたが、12月は利用者数が減りました。その原因は明確には分かっておらず、アプリストアや検索エンジンに表示されにくくなった、もしくは12月は忙しい人が多くアプリを利用しづらい傾向であるといった要因が考えられます。
日曜日の利用者が多い
曜日別の平均ユーザー数は日曜日がもっとも多く1日平均623人、次に多いのが月曜日で1日平均622人、もっとも少ないのは金曜日で1日平均588人でした。2022年のデータではもっとも多いのは日曜日、もっとも少ないのは土曜日だったため若干異なる結果となりました。「翌日が休みの人が多いタイミングではあまり利用されない」「翌日に学校や仕事などの予定がある人がきいてを利用する」という傾向があることが推測されますが、曜日による差はそこまで大きいわけではありません。
21時から23時に悩みを相談したくなる
2023年の各時間帯ごとにアクセスしたユーザーの合計をまとめたのが上記の時間帯別のグラフになります。2023年は21時台と22時台がもっとも利用者が多く、4時台の利用者がもっとも少なかったです。12時に若干増え、14時以降から夜にかけて徐々に利用するユーザーが増える傾向であることが分かります。2022年は21時台がもっとも多く4時台がもっとも少なかったため、前年と同じ傾向が見られます。
夜の時間と昼12時近くにアクセス数が増えるというのは一般的なSNSアプリと同様の傾向であり、きいても「比較的余裕のある時間帯」に利用されることが多いと考えられます。
きいて利用詳細に関するデータ
悩み相談サイトきいてにおける各機能の利用状況に関するデータが以下になります。どのような機能が利用され、どのような投稿にコメントがつきやすいのかを分析しています。
一度でも利用された機能
悩み相談サイトきいてには複数のコンテンツがあります。それぞれの機能がどのくらい利用されたのかをまとめたのが上記の円グラフです。
2023年にきいてにアクセスしたユーザーのうち、1回以上の投稿をした人は17.3%、1回以上のコメントをした人が9.9%、1回以上の共感をした人は7.7%、1通以上のメールを送った人は5.4%でした。
きいての主機能である「投稿」は他の機能よりも利用されており、悩みを相談したい・愚痴を聞いてほしいといった「投稿者」としてサービスを利用する人が多いのが分かります。投稿された悩みや愚痴で気になる内容には「コメント」をつけることができますが、この機能もある程度は利用されていることが分かります。1対1でやり取りができる「メール」は他の機能と比べるとあまり利用されていません。
2022年は「登録した人のうち1回以上の投稿をした人は67.3%」という結果でしたが、2023年は「アクセスした人のうち1回以上の投稿をした人は17.3%」という数字となりました。割合が大幅に減っているのはデータの算出方法が変わったことが原因です。2022年はサービスを開始してからまだ日が浅かったため「登録数に対する投稿者の割合」としてデータを出しましたが、2023年は前年から引き続き利用しているユーザーもいるため「期間内のすべてのアクセス数に対する投稿者の割合」としてデータを出しました。各機能の利用割合が低いようにも見えますが、特にきいてウェブ版では「1つの投稿を見るだけ」で離脱するユーザーも多いためこの割合は妥当だと考えられます。
文字数が多いとコメントされやすい
悩み相談・愚痴サイト「きいて」に投稿された内容を文字数ごとに分析したのが上記の表になります。投稿の文字数が多い(501文字以上の)場合、投稿にコメントがつく割合は82%、ついたコメントの平均は2.0件でした。文字数が中程度(51〜500文字)の場合、コメントがつく割合は84%、ついたコメントの平均は1.7個でした。文字数が少ない(50文字以下の)場合、コメントがつく割合は78%、ついたコメントの平均は1.5個でした。
2022年は文字数が少ない投稿と多い投稿で平均コメント数に差がありましたが、前年と比べて2023年は差が縮まり、コメントがつく割合も上がっています。このデータは自分の投稿にコメントした数やAIからのコメントも含みます。2023年に導入した「きいてコメントAI」によりほとんどの投稿にコメントがつくようになったため、2022年の「文字数が少ない投稿にはコメントがつきにくい」という状態はこのデータ上では改善されていることが分かります。
メールの総数は291,113通
2023年に悩み相談・愚痴サイトきいて内で送信されたメールの総数は291,113通でした。メールしたことがある人は5,185人であり、メール利用者は1人あたり平均で56通のメールを送っています。2022年と比べてメールを送ったことがある人は増え、メールの総数は約3倍に増加しました。一方でメール送信者1人あたりの平均メール数は前年とほとんど変わりませんでした。
メールは「悩みを個別に話したい人が利用する」ことを想定しており、きいて全体の利用者が増えたことでメール送信者も増えたことが分かります。利用する人が増えたにも関わらず1人あたり平均メール数があまり変わっていないことから、「ある程度のやり取りをしたら不安が軽減されてアカウントを削除する人が多い」という可能性や「悩みが解決しなくても途中できいてを使わなくなる」という可能性などが考えられます。
希死念慮がある利用者は23%
希死念慮(自殺念慮)とは死にたいと願う気持ちのことです。きいては悩み相談サービスのため、希死念慮のある内容が投稿されることもあります。2023年に1回でも投稿したことがある人のうち、希死念慮があると考えられるのは3,729人(22.6%)でした。投稿内容の中に「死にたい」「自殺」「消えたい」などの言葉を含んだ投稿をしたことがある人を「希死念慮がある」と定義しています。投稿内容の文字列から判断しているため、実際に希死念慮があってもそのような投稿をしていない人は「希死念慮なし」に分類され、逆に「死にたい気持ちが解消されました」のような投稿をした人は「希死念慮あり」と分類されています。
2022年は希死念慮があると考えられる人の割合が19.7%でした。2023年はきいてのアクセス数が増えましたが、それに伴い前年よりも死にたい気持ちを持った人の割合が少し増えたと考えられます。悩みを抱えている人のアクセスが増え、前年よりもきいてが「悩み相談サービス」として機能するようになったと推測できます。
日本財団第4回自殺意識調査では24%の人が自殺したいと考えたことがあるとのデータがあります。この数字と比較すると、2023年のきいて利用者で希死念慮がある人が22.6%というのは妥当であるとも考えられます。しかし悩み相談サイトという性質上、きいては本来であればもっと高い割合となっていてもおかしくはありません。
いちばん○○した数
2023年、一番たくさん投稿した人は年間で1,940件の投稿をしました。一番たくさんコメントをした人は年間で4,598件のコメントをしました。一番見られた投稿は4,245回表示され、一番たくさん共感された投稿は42件の共感をもらいました。
2022年の数字と比べてすべての項目が2倍以上の数となっています。投稿数が多い人は毎日何件も投稿する傾向が見られます。コメントが多い人はあまり投稿をしておらずコメントすることをメインとして利用していることが目立ちます。
2023年はウェブ版で投稿詳細ページがGoogle検索に表示されやすくなりました。「ペルソナ診断」「MBTI」「信号無視」など、特定の話題に関する投稿で偶然Google検索の上位に表示されやすくなったページが多数あり、その影響で特定の投稿の視聴数が極端に増えるということがありました。
人気の動物と色
悩み相談と愚痴サイト「きいて」では、自分のプロフィール画像として動物のアイコンと背景色を設定することができます。人気の動物は犬・猫・ウサギで、人気の背景色はグレー・ピンク・青でした。犬とグレーはデフォルト設定なのでプロフィールを変更していない人が多いことが分かります。2022年と比べて大きな変化はなかったため、デフォルトの動物や色をそのまま使う人が多いこと、猫やピンクは人気があるという傾向は変わらないようです。
きいてカウンセラーの累計
「きいてカウンセラー」は悩み相談サービスきいてにおけるSNSカウンセラーの役割です。きいてカウンセラーは投稿者の悩みや不安を軽減するため、投稿された内容にコメントしています。
2023年12月31日までの期間で、きいてカウンセラーとして認定された人は累計で105人となりました。きいてカウンセラーは無償のボランティアとしてサイト内や外部ボランティアプラットフォームで応募を受け付けており、2023年だけでも50人以上の応募がありました。ボランティア活動の一種として「SNSカウンセリング」をしたいと考える人のニーズが多いことが分かります。一定の期間で終了となる人や時間のあるタイミングでのみ活動する人などもいるため、記事作成時点で活動期間中のきいてカウンセラーは17人です。
SNSカウンセラー・公認心理師・臨床心理士・産業カウンセラー・メンタル心理カウンセラー・学生・無資格など、ボランティアとして参加している方の資格やキャリアはさまざまです。きいてにおけるボランティア活動では、対応の性質と資格の有無の相関がそこまで強くありません。例えば産業カウンセラーとして実際に働いている方がきいてカウンセラーとしてコメントをしたときに「適切ではない」と考えられる対応をすることもありますし、逆に無資格の大学生がきいてカウンセラーとしてコメントをしたときに「おおむね適切」と考えられる対応をすることもあります。きいては文字でのカウンセリングであり、悩みを相談したい人やただ呟きたいだけの人などニーズもさまざまです。対面と文字では意識する点が異なる部分もあるため、有資格者がコメントをしても今までの知識や経験を活かしきれないときがあったり、無資格者でも直感的に適切なコメントができるケースがあることを確認しています。しかしカウンセリングの本質は変わらず、投稿者の気持ちに寄り添い悩みや不安を軽減するための対応が重要なため、資格や経験がある人の方が適切なコメントができやすい傾向はあります。
きいてコラムの人気記事
きいてに関する最新情報や心理系の記事を掲載している「きいてコラム」があります。2023年で見られた回数が多いコラムは以下3つの記事でした。
2022年に引き続き、心理系コラムである「自殺のメリットとデメリットを解説!#死にたい」「愚痴をこぼす人の心理とは?愚痴をこぼすメリットとデメリット」の記事がよく見られています。きいてカウンセラーのボランティア募集ページである「きいてカウンセラーのボランティアを募集します【SNSカウンセリング】」の記事もアクセスが多いです。
2023年はきいてコラムを5記事しか公開しておらず、内容はきいてに関するお知らせばかりでした。サービスの更新や運用に力を入れている影響で新しい記事の作成が進んでいませんが、きいてコラムに関しては今後もそこまで頻繁に更新する予定は今のところありません。
2023年の収支報告
2023年の1年間、悩み相談サイトきいてで発生した収益(売上)は116,805円でした。現在きいての収益源はサービス内で表示される広告の売上のみです。きいて運営にかかったコスト(費用)は393,297円でした。サービス維持のために必要なサーバー代やドメイン代などのコスト、広告出稿の費用、有償で活動している一部きいてカウンセラーへの協力金、きいてカウンセラーへ書籍の提供、デザイン素材費用などが内訳となります。また2023年からChatGPTのAPIを導入したことで、きいてコメントAIの稼働量に応じてAPIの利用費がかかるようになりました。なおきいて運営の人件費は費用に含んでおらず、収益や費用の数字もおおよその金額で算出しています。
2022年と比べて収益も費用も増加しました。ChatGPTや広告などコンテンツ改善と集客のための施策を増やしたことにより費用が増えています。十分な収益を確保できればきいてカウンセラーの人員確保やサービス拡大がしやすくなるため、きいてでは「収益性」も重要だと考えています。そのためサービス内に表示される広告の数を増やし収益性は改善なども進めていますが、前年に引き続き2023年も赤字となりました。
データの補足
各データはきいてデータベースやGoogleアナリティクスのデータを元にしています。データの中には同一ユーザーの重複やテストデータ等も含まれている可能性があるため、厳密な数字ではないことをご容赦ください。
きいてはアプリ版とウェブ版で仕様が異なりますが、上記データは(それぞれのデータ上で記載がない限り)基本的にアプリとウェブのデータを合算しています。
悩み相談サイトきいての利用状況と課題まとめ
2023年の悩み相談サービスきいて分析データは以上となります。前年と比べて利用者は大幅に増加しており、悩み相談サービスとしてそれなりの位置付けになっていると感じます。
しかしきいてには課題がたくさんあります。せっかく投稿しても人からのコメントがつきにくい状況、きいての利用が相談者にとって有効に機能しているかどうか検証ができていない点などです。これらの課題を認識し、誰でも気軽に悩み相談ができて「誰も自殺しなくて良い社会を作る」ため、引き続きサービスを改善していきます。