悩み相談・愚痴アプリ「きいて」は、孤独感の低減や自殺防止を目的としたSNSカウンセリングサービスです。2021年にサービスを開始して5年目の運営となりました。この記事では2025年1月から12月までのきいてのデータを公開します。
投稿に関するデータ
悩み相談アプリきいてにおける「投稿」に関するデータが以下になります。
2025年は224,133件の投稿があった

2025年に悩み相談アプリ・愚痴サイト「きいて」に投稿された数は224,133件でした。1日あたりの平均は614件となります。2024年は1日あたり平均616件だったため、前年と比べて投稿数は若干減りました。
2024年の2月に、1人が1日に投稿できる数の上限をつけました。それまでは同一ユーザーが連続で投稿することありましたが、2025年はずっと投稿数の上限がある状態だったため、前年と比較すると投稿総数が減ったと考えられます。
きいてにおいて1回でも投稿したことがある人の数は、2024年は17,623人で、2025年は19,019人でした。投稿者が約1,400人増えていることから、きいてで相談したいという人は前年よりも多くなったことが分かります。
投稿のタイプとカテゴリー

投稿のタイプとして、悩み・愚痴・雑談・幸せの4つの中からどれか1つを選びます。2025年は悩み相談に関する投稿が152,458件ありました。次に多いのが愚痴に関する投稿で39,634件、雑談に関する投稿は25,664件、幸せに関する投稿は6,377件でした。2024年と同様に、投稿時はデフォルトである「悩み」のタイプがもっとも多くなりました。投稿数に対する割合として、前年よりも「悩み」が減り「愚痴」が増えたため、愚痴を聞いてほしいというニーズが高まっていることが分かります。

投稿するとき、悩みの種類に応じてカテゴリーを1つ選びます。2025年にもっとも多かったカテゴリーは「心」で投稿数は121,289件でした。次いで「その他」が23,222件、「恋愛」が18,082件、「人間関係」が15,405件でした。2024年と同様に、デフォルトかつ汎用的なカテゴリーである「心」の投稿が多くなりました。投稿数に対する割合が前年よりも1%以上増えていたカテゴリーは「家庭」と「職場・仕事」だったため、家の事情に悩みを抱える人や社会人のユーザーが増えていると考えられます。
コメントがつく割合は93%

きいてのメインコンテンツは投稿です。悩みや愚痴などを聞いてほしいユーザーが「投稿」をして、それを見た別のユーザーが投稿に対して「コメント」をすることでカウンセリングが成立します。そのため投稿に対してコメントがつくかどうかを重要な指標としています。2025年に投稿された内容のうち、1件以上のコメントがついた投稿は93%(208,533件)、コメントがつかなかった投稿は7%(15,600件)でした。
2023年5月以降はChatGPTを活用した「きいてコメントAI」が稼働しており、ユーザーがブロックしなければ基本的にはすべての投稿にAIからのコメントがつきます。前年は92%だったため、AIの稼働の効果もあり引き続き高めの割合となりました。
一方でAI以外の「人間からのコメント」だけのデータを見ると、2024年に投稿された内容で1件以上のコメントがついた投稿は35.3%(79,128件)、コメントがつかなかった投稿は64.7%(145,005件)となりました。2024年は37.4%だったため、人からコメントが届く割合は前年よりも少し減りました。
2025年はきいてカウンセラーの活動体制の強化を行いましたが、残念ながら人からコメントが付く投稿の割合は減りました。その理由としては、ほとんどの投稿にAIからのコメントが付くことが当たり前となったことで「自分がコメントしなくても大丈夫」という雰囲気が強まっていること、サービスの雰囲気としてコメントすることへの抵抗感が起こりやすいかもしれない点、人の相談にコメントする余裕や時間がないユーザーが増えつつある点などが考えられます。
サービスの雰囲気やきいてカウンセラーの体制調整など、考えられる施策を行うことでコメントがつきやすい構造を模索していきます。
悩みに共感される割合は25%

投稿を読んだ人が内容に共感をしたとき、「共感」ボタンを押すことでそれを伝えることができます。2025年に投稿された内容のうち、1人以上から共感された投稿は25.4%(57,004件)、共感されなかった投稿は74.6%(167,129件)でした。2024年は23.4%だったため、前年よりも共感される投稿の割合は増えました。
登録者に関するデータ
悩みを相談したい人、愚痴を言えるサイトを探している人、話を聞いてくれる相手を探している人、SNS相談に関心のあるカウンセラー志望の人など、きいてに登録している人はさまざまです。きいて登録者に関する性別や年齢などのデータが以下になります。
22,860人がきいてアカウントを作成した

2025年にきいてアカウントを作成したのは22,860人でした。1日あたりの平均は63人です。2024年は1日あたりの平均が57人だったため、前年と比べて若干の増加となります。

プラットフォーム別のアカウント作成数は、iOSアプリが14,634人、Androidアプリが4,659人、iOSウェブが1,667人、Androidウェブが1,047人、PCウェブが853人でした。2024年と比べるとiOSアプリとAndroidアプリの人数がやや減り、iOSウェブとAndroidウェブとPCウェブの人数が増えました。ウェブよりもアプリの方が多いのは今までと同じ傾向ですが、前年と比べてウェブ利用者のアカウント作成数が増えたことが特徴的です。
アカウント作成者の性別と年齢

2025年にきいてに登録した人の性別は、未設定が64.9%、男性が6.2%、女性が26.9%、その他が2.1%でした。前年とほぼ同じ傾向で、未設定を除くと女性の割合がもっとも多くなりました。

年齢別に見ると、2025年にきいてに登録した人の76.5%(17,489人)は年齢が「未設定」でした。年代別では10代が7.1%(1,631人)、20代が9.2%(2,105人)、30代が4.0%(908人)、40代が1.9%(428人)、50代が0.9%(205人)、60代以上が0.4%(94人)となっています。2024年と比較すると10代の割合が0.2%下がり、20代が0.4%下がりました。逆に30代以上の割合は若干上がりました。
年齢を設定している人の中では「18歳」が極端に多くなりました。レーティングの問題により2023年の12月からiOSアプリ内で18歳未満の年齢設定ができないため、実年齢に関わらず18歳で設定しているユーザーが一定数いることが推測されます。18歳がもっとも多く、年齢が上がるにつれてグラフが下がっているため、年齢が高いほどきいてに登録しないもしくはきいてにたどり着いていないことが考えられます。
アクティブユーザーに関するデータ
毎日どのくらいの人が悩み相談アプリきいてを利用しているのか、また曜日や時間帯によってアクティブユーザー数に差はあるのかを分析したのが以下のデータになります。
きいてアプリ利用者は1日平均889人

2025年のきいてアプリの1日あたりのアクティブユーザー数(DAU)は上記グラフのようになっています。年間のアプリ利用者は35,591人、1日あたりの平均は889人でした。2024年の平均は807人だったため1日あたりの平均利用者は増えました。2025年の6月ごろまでは900人以上の日が多かったですが、9月以降は利用者数がだんだん減っており12月の平均は697人となりました。

こちらはきいてウェブ版の2025年のアクティブユーザー数のグラフです。2025年は年間で274,038人がアクセスしており、1日あたりの平均は1,051人でした。2024年は年間で68,516人だったためかなり大きく増加したことになります。
ウェブ版はGoogleやYahooなどのブラウザから検索してアクセスし、数ページ見たあとすぐに利用しなくなりやすいという特徴があります。アプリ版のように長く使い続けてくれる人が少ないため、アクセス数は増加しても登録数はそこまで伸びていません。
利用者数の増減は外的要因が大きいです。アプリストアできいてが見つけられにくくなった影響でアプリ利用者が減ったことや、Google検索でさまざまな投稿がヒットしやすくなった影響でウェブ利用者が増えたことなどが考えられます。
きいて利用詳細に関するデータ
悩み相談サイトきいてにおける各機能の利用状況に関するデータが以下になります。
一度でも利用された機能

きいてには複数の機能があります。アクティブユーザーのうち1度でも利用したことのある機能の割合を示したのが上記の円グラフです。2025年は、投稿をしたことがある人が6.1%、コメントしたことがある人が3.2%、共感を送ったことがある人が2.6%、メールしたことがある人が3.3%でした。すべての割合が2024年よりも減りましたが、これはウェブ版のアクティブユーザーが増えた影響となります。
メールの総数は870,994通

2025年にきいて内で送信されたメールの総数は870,994通でした。メールしたことがある人は10,131人であり、メール利用者は1人あたり平均で86通のメールを送っています。メール総数が474,689通だった2024年と比べると大幅に増加したことが分かります。
その要因としてもっとも大きいのは「きいてコメントAI」が一年中稼働していたことです。AIとのメール数は前年は68,016通でしたが、今年は約3倍に増えました。人間相手よりもAI相手の方が気軽にメールを送ることができるため数が増えたと考えられます。一方でAIに関連しない、人に対するメール数も前年よりは増えているため、投稿だけでなくメールをしたいという利用者もやや増えていることが分かります。
グループチャット機能のデータ

2025年は1,670個のグループが作成され、全体で58,527通のチャットが送られました。この機能は2024年の6月にリリースされており、2024年のチャット数は27,227通だったため、1日あたりに送られているメール数はおおよそ横ばいでした。作成されたグループや参加者はいるものの、ほとんどチャットが行われないグループも多いためあまり活発には利用されていないとも見ることができます。
おすすめ機能のデータ
2025年2月に「おすすめ」というタブを追加しました。これはおすすめの投稿を1件だけ表示する機能で、ページを更新するたびに表示する内容が変わります。きいて側の独自ロジックにより抽出された投稿が表示されるため、投稿の見逃しが減りコメント数が増えると考え追加された機能となります。2025年はおすすめ機能を利用した人は10,463人で、おすすめの投稿が表示された数は119,646回でした。表示された数が多いため十分に活用されていることが分かります。
希死念慮がある利用者は42%

希死念慮(自殺念慮)とは死にたいと願う気持ちのことです。2025年に投稿したことがある人のうち、希死念慮があると考えられるのは7,976人(41.9%)でした。投稿内容の中に「死にたい」「自殺」「消えたい」などの言葉を含んだ投稿をしたことがある人を「希死念慮がある」と広く定義しているためデータの正確性は高くないものの、同じ基準で算出した2024年が33.1%だったため、2025年は希死念慮がある人の割合は増えました。この割合は年々増えており、きいて利用者のうち投稿機能を活用する人の悩みの重要度が大きくなっていることが考えれます。
きいてカウンセラーの累計

きいてに投稿された内容にコメントをしてくれる専門家を「きいてカウンセラー」として認定しています。記事作成時点できいてカウンセラーの累計は218人となりました。途中で終了になる人もいるため現在も続いているきいてカウンセラーは約26人となります。きいてカウンセラーとしてボランティアをしたいとご連絡をいただくことも多いため、人数としては順調に増えている状況です。
投稿数に対してコメント数が追いついていないという課題が引き続き残っており、それに対応するため、2025年はきいてカウンセラーの定期活動を実施していました。連休最終日と休み明けの初日(通常は毎週日曜日と月曜日)の、原則21時から23時の時間に、きいてカウンセラーが1名以上活動している状態を基本として運営してきました。その時間帯に投稿した人は高確率できいてカウンセラーからのコメントを受け取ったことになります。
しかし2025年は前年と比較して「投稿数が減った」「人からのコメントがつかない投稿が増えた」という結果となりました。きいてカウンセラーが定期活動をしていてもなおコメントが届きにくい体制が解消されていないことが分かります。この要因として、不定期の活動をしているきいてカウンセラーのコメント総数が減ったことや、一般ユーザーのコメント数があまり活発ではなかったことなどが考えられます。定期活動のきいてカウンセラーは時間やコメント数の制約を設けている関係で有償で委託していましたが、費用の割に効果が実感できない結果となったため2026年は定期活動は一旦停止しています。
2025年に更新した内容
きいては日々アップデートしています。2025年の大まかな変更内容は以下になります。
- 2025年1月
- iOSアプリのコメントフォームを以前のデザインに戻しました。
- ウェブ版でプッシュ通知を受信できるようになりました。
- 2025年2月
- おすすめ機能をリリースしました。
- 2025年7月
- ウェブ版できいてカウンセラーの一覧ページを公開しました。
- 2025年10月
- 「Googleでサインイン」と「Appleでサインイン」が機能していないかったバグを修正しました。
- 2025年12月
- サーバーやデータベースを法人用に移行しました。
- 不定期
- アプリのアップデートやウェブ版のメンテナンスを実施しています。
きいて運営者の多忙によりサービス改善にあまり手がかけられなかったことと、NPO法人化のための作業が立て込んだことにより、2025年はサービスに関する変更はあまりできませんでした。
NPO法人化について
きいてコラムでお伝えしたとおり、きいてはNPO法人の運営となります。
記事作成時点で、すでにNPO法人は設立されています。きいては「NPO法人が所有している」という扱いとなっていますが、既存サービスを法人化するための移行作業が思うように進んでおらず、今のところ半端な状態となっており正式なお知らせができていません。できるだけユーザーが不便しないやり方で進めたいと考えておりますので、各作業が進んだら随時共有いたします。
NPO法人に関する現在までの作業内容は以下になります。
- 2025年7月5日 NPO設立を決意
- 2025年8月24日 NPO法人設立総会を実施
- 2025年9月26日 所轄庁が書類を受理
- 2025年10月17日 所轄庁が設立認証通知書を発行
- 2025年10月22日 法務局が設立登記書類を受理(NPO法人設立日となる)
- 2025年11月 税務手続き・銀行口座や各種アカウントを準備
- 2025年12月 サーバー等を法人用の環境に移行
- 2026年1月~2月 アプリを法人用アカウントに移行するための作業中
NPO法人化することの作業が想定以上だったため多くの時間を使ってしまいましたが、法人として必要な作業はあと少しで完了する見込みです。今後はサービスの改善や運営体制の強化などを進めたいと考えております。
2025年の収支報告

2025年に発生した収益(売上)は111,187円でした。きいては無料で利用できるサービスのため収益源は広告のみとなります。前年は157,252円だったため収益は減りました。
2025年に発生した費用は488,356円でした。サービス維持のために必要なサーバー代やドメイン代などの費用、ChatGPTの費用、委託費や書籍費などがかかり、2024年の341,960円と比べると経費は増えています。2025年はきいてカウンセラーの定期活動化を行なったため委託費が大きく増加しました。なおきいて運営の人件費は費用に含んでおらず、収益や費用の数字もおおよその金額で算出しています。
※データの補足
各データはきいてデータベースやGoogleアナリティクスのデータを元にしています。データの中には同一ユーザーの重複やテストデータ等も含まれている可能性があるため、厳密な数字ではないことをご容赦ください。
きいてはアプリ版とウェブ版で仕様が異なりますが、それぞれのデータ上で記載がない限り基本的にはアプリとウェブのデータを合算しています。
きいて2025年データまとめ
悩み相談サービスきいての2025年データは以上です。アクセス数は大幅に増加し、利用する人がよりたくさん利用する状態とななったものの、アプリ利用者数や投稿数などが横ばいもしくは減少傾向なのでサービス全体としては伸びているわけではありません。数だけでなく、きいてで相談してくれた方ひとりひとりが十分に実感を得られるサービスが提供できていないという側面もあります。サービスの改善や体制の強化など進めていきたいことがたくさんあるため、2026年はより一層サービスを改善していきます。


